2017年 01月 18日
断弦 |
「断弦つぎ難し 嗚呼それ悲し」
これは、誰の言葉であったか思い出せない。確か著名な明治の小説家が妻を亡くした悲しみを碑文として刻んだと記憶しているが、どうだろうか。
現在私は、余命宣告を受けた妻を看取っている。
これはつらい。
倹しく生きてきた糟糠の妻であった。
顧みて、許しを請わなければならないわがままも度々あった。今更ながら済まなかったと心で頭を下げた。
非難がましい事を一言もいわず、うれしかったことだけを語ったその心根がいじらしい。
今はただ、彼女の意に沿うことだけをして私が尽くす番だと思っている。
若し妻が先に逝ってしまえば、それこそ「断弦つぎ難し 嗚呼それ悲し」と思うだろう。
そして私が生涯を終えるときは、
その時は、「遅くなった、今行く」とつぶやきたい。
by kimura3113
| 2017-01-18 22:45