2017年 04月 18日
時代考証 |
わたしの書架に「時代考証事典」と言う本が収納されている。
この本は、手っ取り早く言えば「大阪は名古屋の東である」という文章は大阪と名古屋が入れ替わってしまっていて明らかに誤りである。
これを正していくのが時代考証の仕事である。
例を挙げればきりがないが、江戸時代の子供が野球をして遊んでいたり、紫式部が万年筆で物語をかいたり、鎌倉時代の武士が鉄砲をいくさにつかっていたりした様子を作家が書いたとすればそれはフィクションであって事実ではない。
物語を面白くするために工夫を凝らすのは作家の力量であるが、事実から乖離することは許されない。
「昭和40年代、大胆に虚構を切り捨てた歴史小説が海音寺・司馬両氏によって試みられた。
ほとんど史伝と言っていいほど、史実其のままの文学であり、かつてない感動を読者に与えた」と時代考証事典の著者・稲垣史生氏は述べている。
勿論これらは文学の話であるが映画やテレビにも同様の事が言える
氏が描く江戸時代の物語を虚構と知りつつも「読者の目を楽しませる工夫」と言えば、成程、ならばそれはそれでいいかと思いながら見ている。
by kimura3113
| 2017-04-18 16:28